CIDP患者さんをサポートされている方のための10のアドバイス

CIDP(慢性炎症性脱髄性多発根神経炎)患者さんをサポートすることは大変なことかもしれません。一生懸命サポートするあまり、自分をケアする時間やエネルギーを失ってしまうこともあるでしょう。サポートしている方がセルフケアの習慣を身につけることは、心身のバランスを保つうえでも有益です。自分の気持ちが少し楽になるというだけでなく、大切な人を支える余力も生まれます。あなたが患者さんの配偶者やパートナーでも、友人や家族でも、患者さんをサポートしながら自分もケアするために役立つポイントをご紹介します。

01. 自分の気持ちが間違っていると考えない

最初に気付くべき重要ポイントは、CIDPの影響が及ぶ先が患者さんだけではないということです。サポートしている方にも影響し、特に日常的に患者さんに触れている人には大きく影響します。

症状が進行し障害が強くなると、それまでは患者さんが自分でしていたことができなくなり、サポートしている方の負担や責任が大きくなることがあります。例えば、足の障害が軽かったうちは杖などを使いながらどうにか患者さんが歩いていても、障害が重くなると介助をしたり車いすを用意したりといったことをする必要が出てきたりします。そうすると、サポートしている方の対応が難しくなり、負担が大きくなったように感じられるかもしれません。うまくサポートできないことが心の負担になる人もいるでしょう。押しつぶされそうな気持ちになったり、苛立ちを感じたりするかもしれません。ときにはそうした気持ちを抱いてしまったことに罪悪感を抱くこともあるでしょう。

そんなときは、少しでよいので自分だけの時間を取って、自分の気持ちを受け入れましょう。サポートしている方の苦しみは、患者さんの苦しみと同じように、現実のものです。そして、あなたの気持ち、そして患者さんの気持ちは正当なものであり、決して間違ったものではありません。その気持ちをなかったことにするのではなく、自分のものとして受け入れてから、改善を試みましょう。

02. 楽しいことをする時間を取る

生活の中でやらなければならないことすべてから離れ、自分のためだけの時間、自分が心から楽しめることをする時間を取ることが大切です。例えば、楽器を演奏したり、好きなテレビ番組を見たり、絵画教室に通ったりといったことです。たとえ短い時間でも楽しい休息は気持ちを明るくし、エネルギーを取り戻すためにとても効果的です。

03. 大切な人と率直に、思いやりを持って話をする

お互いに、自分の気持ちを率直に伝えられるようにしましょう。
ただし、CIDP患者さんの中は、自分の病気が周囲の人に負担をかけてしまっていることに罪悪感を覚えているかたもおられます。この点を理解したうえで、できるだけ温かな気持ちで、相手を傷つけないよう互いに努力しながら話しましょう。
CIDP患者さんの中には、病気をきっかけに大切な人との距離がさらに縮まったと感じている方もいます。

04. より良い睡眠習慣を身につける

一般に、良い睡眠は回復効果が高く、ストレスを軽減できると言われています。睡眠の質を高めるには、遅い時間にたくさん食べない、就寝前はテレビやスマートフォンを見ないなどの方法があります。健康な成人の場合、一般に7時間以上の睡眠が適切と考えられています。就寝前はできるだけくつろぎ、毎日同じ時間にリラックスしてベッドに入ることも睡眠の質を上げる方法の一つです。

05. 友人や家族に助けを求める

サポートの負担が大きくなってきたら、他の人に助けを求めることをためらわないでください。手を貸したいと思っている人がいても、求めがなくてどうしたらいいかわからずにいるかもしれません。近所に住む友人や親類が車で医療機関まで送ってくれたり、あなたのかわりに買い物やちょっとした作業をしてくれるかもしれません。時間がないときに近所の人があなたに代わって玄関前の掃除や子供の送り迎えをしてくれるかもしれません。困っている人のサポートに喜びを感じる人も少なくありません。人に助けを求めることに過度な罪悪感を感じることなく、まずは相手に都合を聞くところからはじめてみましょう。

06. 役割や責任を見直す

あなたのパートナーや家族がCIDPを患い、これまでにやっていたことを一切できなくなったとしても、何かの役に立ちたいと思っているかもしれません。そんなときは、毎日の家事や作業を一緒に見直し、誰が何をするかの役割分担を考え直してみましょう。あまり体力を必要としない作業や、簡単な家事なら任せられるかもしれません。そうして作業の一つ一つを見直すことで、患者さんにとって身体的に難しい作業をあなたが引き受け、患者さんができることは引き続きやってもらうことができます。障害が重くなって分担もできなくなってしまうことがあるかもしれませんが、そんなときも本人が望んでそうなったわけではないことを理解して、支えあおうという気持ちを忘れずにいてください。

07. カウンセリングや支援サービスを利用する

サポートグループなどの患者団体は、患者だけでなく、患者をサポートしている人が交流する場を提供してくれていることが多いです。患者のサポートがつらく感じられるようになってきた人が、同じような境遇の方と気持ちを分かち合うことは、特に効果的です。同じような経験をし、同じような悩みを持っている人同士で情報交換ができるかもしれません。全国CIDPサポートグループ(https://cidpsgj.org/)に相談してみましょう。
主治医に事情を説明して、心療内科医や精神科医の心当たりがないか尋ねてみるのもよいでしょう。

08. 些細なことに悩まない

あらゆることを同時に成し遂げることはできません。あらゆることを同時に、完全に成し遂げることはもっとできません。
To-Doリストを「絶対にやる」と「後回しでOK」に分けると同時に、いつもの基準をちょっと下げ、自分のやることに余裕を作りましょう。自分で作った基準に振り回されて「うまくできない」とストレスを感じてしまうのもつらいものがあります。おおらかな気持ちで過ごすことでストレスが軽減できることもあるのではないでしょうか。
あなたと家族のために、食料品の買い出しは本当に必要ですか? はい、必要ですね。だけど、ネットスーパーや配送サービスを使うことで負担を減らすことができるかもしれません。
では、浴室の掃除に十分な時間をかけなかったらこの世は終わりますか? たぶん終わらないでしょう。
何が大切かは人によって違いますが、それでも成し遂げられることには限界があります。自分の限界を見極めながら、それに応じてなにをすべきかの優先順位を決めましょう。

09. 時間節約術を有効活用する

1日は24時間しかありません。CIDP患者さんの介護をしているときも、それは同じです。もし経済的に余裕があるなら、暮らしを楽にしてくれる各種サービスを利用して、貴重な時間を取り戻しましょう。フードデリバリーや洗濯代行、便利屋アプリまで、現代の便利なサービスを利用して時間を節約することを検討してみてください。

10. 体を動かして、ストレスを取り除く

散歩、ジム通い、ガーデニングなど、定期的な運動はストレスの軽減に役立ちます。楽しみながら体を動かせることを見つけ、毎日の習慣に取り入れてみましょう。家族や友人と一緒にできる活動もおすすめです。

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「いいかんじ」を維持していこう

介護をしているあなたは、CIDP患者さんを支えるためにすでに大忙しです。いま抱えている「やらなければならないこと」に手いっぱいで、セルフケアするひまなんてないと感じておられるかもしれません。
しかし、自分のための時間をほんの少し確保することで、エネルギー、集中力、そして心の平穏が得られることがあります。ちょっとしたことがあなたの生活に良い影響をもたらすだけでなく、結果として介護されている人にもメリットがあるのではないでしょうか。

JP-VDJMG-24-00087(2024年10月作成)

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