CIDP(慢性炎症性脱髄性多発根神経炎)患者さんをサポートすることは大変なことかもしれません。一生懸命サポートするあまり、自分をケアする時間やエネルギーを失ってしまうこともあるでしょう。サポートしている方がセルフケアの習慣を身につけることは、心身のバランスを保つうえでも有益です。自分の気持ちが少し楽になるというだけでなく、大切な人を支える余力も生まれます。あなたが患者さんの配偶者やパートナーでも、友人や家族でも、患者さんをサポートしながら自分もケアするために役立つポイントをご紹介します。
02. 楽しいことをする時間を取る
生活の中でやらなければならないことすべてから離れ、自分のためだけの時間、自分が心から楽しめることをする時間を取ることが大切です。例えば、楽器を演奏したり、好きなテレビ番組を見たり、絵画教室に通ったりといったことです。たとえ短い時間でも楽しい休息は気持ちを明るくし、エネルギーを取り戻すためにとても効果的です。
03. 大切な人と率直に、思いやりを持って話をする
お互いに、自分の気持ちを率直に伝えられるようにしましょう。
ただし、CIDP患者さんの中は、自分の病気が周囲の人に負担をかけてしまっていることに罪悪感を覚えているかたもおられます。この点を理解したうえで、できるだけ温かな気持ちで、相手を傷つけないよう互いに努力しながら話しましょう。
CIDP患者さんの中には、病気をきっかけに大切な人との距離がさらに縮まったと感じている方もいます。
05. 友人や家族に助けを求める
サポートの負担が大きくなってきたら、他の人に助けを求めることをためらわないでください。手を貸したいと思っている人がいても、求めがなくてどうしたらいいかわからずにいるかもしれません。近所に住む友人や親類が車で医療機関まで送ってくれたり、あなたのかわりに買い物やちょっとした作業をしてくれるかもしれません。時間がないときに近所の人があなたに代わって玄関前の掃除や子供の送り迎えをしてくれるかもしれません。困っている人のサポートに喜びを感じる人も少なくありません。人に助けを求めることに過度な罪悪感を感じることなく、まずは相手に都合を聞くところからはじめてみましょう。
06. 役割や責任を見直す
あなたのパートナーや家族がCIDPを患い、これまでにやっていたことを一切できなくなったとしても、何かの役に立ちたいと思っているかもしれません。そんなときは、毎日の家事や作業を一緒に見直し、誰が何をするかの役割分担を考え直してみましょう。あまり体力を必要としない作業や、簡単な家事なら任せられるかもしれません。そうして作業の一つ一つを見直すことで、患者さんにとって身体的に難しい作業をあなたが引き受け、患者さんができることは引き続きやってもらうことができます。障害が重くなって分担もできなくなってしまうことがあるかもしれませんが、そんなときも本人が望んでそうなったわけではないことを理解して、支えあおうという気持ちを忘れずにいてください。
08. 些細なことに悩まない
あらゆることを同時に成し遂げることはできません。あらゆることを同時に、完全に成し遂げることはもっとできません。
To-Doリストを「絶対にやる」と「後回しでOK」に分けると同時に、いつもの基準をちょっと下げ、自分のやることに余裕を作りましょう。自分で作った基準に振り回されて「うまくできない」とストレスを感じてしまうのもつらいものがあります。おおらかな気持ちで過ごすことでストレスが軽減できることもあるのではないでしょうか。
あなたと家族のために、食料品の買い出しは本当に必要ですか? はい、必要ですね。だけど、ネットスーパーや配送サービスを使うことで負担を減らすことができるかもしれません。
では、浴室の掃除に十分な時間をかけなかったらこの世は終わりますか? たぶん終わらないでしょう。
何が大切かは人によって違いますが、それでも成し遂げられることには限界があります。自分の限界を見極めながら、それに応じてなにをすべきかの優先順位を決めましょう。
10. 体を動かして、ストレスを取り除く
散歩、ジム通い、ガーデニングなど、定期的な運動はストレスの軽減に役立ちます。楽しみながら体を動かせることを見つけ、毎日の習慣に取り入れてみましょう。家族や友人と一緒にできる活動もおすすめです。
JP-VDJMG-24-00087(2024年10月作成)