CIDP(慢性炎症性脱髄性多発根神経炎)の治療では脳神経内科医を受診することになりますが、例えば救急科の看護師や歯科医、新しいかかりつけ医など、神経の病気を専門としていない医療関係者と接する機会もあるかもしれません。例えば救急科の看護師や歯科医、新しいかかりつけ医などです。場合によっては、どんな病気にかかっているかを理解してもらうため、自分がCIDP患者であり、どのような症状があらわれているかを説明する必要があるでしょう。
医師と患者は、オープンに話し合い、パートナーとして互いの役割を果たすようになるのが理想的です。
単に医師にCIDPを理解してもらうだけでなく、医師との間によい関係を築くことが大切です。
CIDPのことをかかりつけ医に相談するとき、新しい施設を受診するとき、急なけがや病気で救急科を受診するとき……いずれにおいても、まずは自分と病気のことを理解してもらうことが重要です。
脳神経内科が専門ではない医師は、CIDPについて文献で読んだことはあったとしても、実際の患者さんの実生活を自分の目で見るまでは十分に理解しきれていない可能性もあります。
脳神経内科ではない医師を受診する際にも
CIDPのことを医師にはっきりと伝える必要があります
CIDPを専門としていない医師(カゼをひいて近所の内科を受診したり、耳鼻科や皮膚科、歯科に診てもらいたいときもあるでしょう)を受診する場合は、CIDPについて理解してもらうことが大切です。しかしそれ以上に、CIDPがあなた個人やあなたの生活にどのような影響を与えているかを知ってもらう必要があるかもしれません。
CIDPを専門としていない医師に伝えるべき重要なポイントは何でしょうか?
- 病気について:希少な自己免疫疾患であるCIDPを抱えていることを説明しましょう。
- いま、どのような影響が及んでいるか:今の体調をはっきりと伝えましょう。例えば、「今は歩行障害があります。足に強い痛みがあります。やむなく、今週の予定は全部キャンセルしました」など、いま起きていることとそれによる影響をあわせて話せるとさらに伝わりやすいです。
- CIDPは他の病気と混同されがちです:CIDPの症状には他の病気と似ているものもあるため、混同されることが少なくありません。
- いまのあなたの要望や目標:いま、何を助けてほしいか、将来に向けてどのような目標を立てているかを単刀直入に伝えましょう。例えば、「痛みが辛いので、すぐに和らげてほしいです」など。
CIDP患者さんを何人も見ている専門医にかかっているときにはこうした要望をすぐに理解してくれるかもしれませんが、専門医でない医師には伝わりにくいことがあります。そのため、いま自分の身に起こっていることをなるべく具体的に伝えるとよいでしょう。 - 治療歴:現在受けている治療と、過去に試みた治療を説明してください。何がうまくいき、何がうまくいかなかったのかや、これまでに経験した副作用があればそれも併せて伝えましょう。特に、いま現在どのような治療を行っているかは重要な情報です。
あなたの健康の一番の守り手は?
あなたの健康を守ってくれるのは誰でしょう? 家族、医師、看護師……たくさんの人が思い浮かぶかもしれません。でも、あなたの健康の一番の守り手は、あなたでなければいけません。
あなたは自分の状態をよく知り、またそれを的確に伝えて治療や生活をよりよいものにしなければなりません。
それは、医師と接するときも同じです。
あなたの健康を守るために:
- 意思疎通は率直に--病歴、質問、いまの心配ごとをできるだけ正直に、はっきりと伝えてください。遠慮したり、がまんできるからといって伝えずにいるのは良い結果につながらないことが多いです。
- 合意した治療計画に協力する--医師と一緒に立てた治療計画になるべく沿ったかたちで生活してみましょう。生活していく中で、沿うのが難しい、支障があるといった場合には、なるべく早めに医師に相談して、治療計画をあなたに合ったものに更新しましょう。
心配せずに、あなたが望んでいることを医師に素直に伝えてください。
脳神経内科医を受診するなら
診察をより効果的にし、治療の効果を最大限発揮できるようにすうためには、受診前に準備を整えておくことが大切です。現在の健康状態を理解してもらうために、できるだけ漏れなく病気のことを伝えられるよう準備しておくことをお勧めします。
- 病状日誌をつける--Dr.ドゥッラーニによると、病状日誌はあなたの健康状態と、CIDPによる影響を総合的に把握する助けになります。情報が蓄積されるにつれ、日ごと、月ごと、年ごとのCIDPの影響を、医師だけでなく、あなた自身も捉えやすくなります。
- 毎回の受診時に質問リストを作る--医師に聞きたい質問は3~4つに絞っておくとよいでしょう。事前に聞きたいことをまとめてリストにしておくとスムーズに話しやすくなります。
- 家族などに付き添いを頼めないか考えてみる--すべてのことを一人で話すのは大変です。可能であれば、主な症状を一緒に思い出し、説明が足りない部分があるようなら、それを補ってくれそうな身近な人といっしょに受診しましょう。
自分のための治療を選ぶ
治療に関して、最終的な決定を下すのはあなたです。
あなたは、提案された治療を受け入れることも拒むこともできます。
あなたの要望とは違うと思ったら、遠慮したり気おくれしたりすることなく、納得いくまで質問して、受け入れるかどうかを決めるとよいでしょう。
- 自分の病歴を理解しておく--治療を決定するにあたって、自分がいつ治療を始めたか、どのような治療を受けて、病状がどう変わってきたかを理解することは重要です。これまでの受診の正確な記録がほしい場合は、医師に「医療記録をください」とお願いすることもできます。医師に相談してみてください。
- セカンドオピニオンを受ける--必要であれば別の医師にセカンドオピニオンを求めることができます。いまの治療や診察に不安がある時は、遠慮せずにいまの医師にセカンドオピニオンを受けたいことを伝え、診断書等をもらって別の医師に相談してみましょう。
あなたの健康と安心のためには、どちらかからの一方通行ではなく、あなたと医師との間でオープンな意思疎通が行われることが大切です。あなたが自分の健康管理に積極的に関わることで、よりよい治療が可能になります。
JP-VDJMG-24-00087(2024年10月作成)