CIDP患者さんのための6つのストレス軽減法

あなたの治療や暮らし方について変更するなど、健康に関する決断を行うときには、事前に医師に相談しましょう。
特に、生活習慣を変えるような大きな調整を行うときは、必ず医師に相談しましょう。

CIDP(慢性炎症性脱髄性多発根神経炎)は希少な自己免疫性疾患であり、慢性疾患でもあります。
CIDPのような慢性疾患では、症状や治療が日常生活のさまざまな面に影響し、ストレスが多くなりがちです。
今からご紹介する6つのストレス軽減法は、心と体の健康を保つために役立ちます。 ただし、生活習慣を変えるようなものも含まれていますので、はじめる前にご自身に適しているかどうかを医師に相談してみてください。

1. 体の健康を優先する

CIDPの診断を受けたら、かかりつけ医にも相談してみましょう。特定のかかりつけ医がいないという方は、これを機に近所の病院や診療所にかかりつけ医になってもらえないか相談してみるとよいでしょう。
CIDP患者さんは糖尿病や高血圧症、脂質異常症といった病気を合併する方も少なくありません。CIDPだけでもつらいところで、生活習慣病のために暮らしに様々な制限がかかるということは大きなストレス源となりえます。そんな中で、あなたの診断や症状を把握し、普段の健康を支えてくれるかかりつけ医がいると心強いのではないでしょうか。
定期的に受診するよう習慣づけておくと、ワクチン接種なども忘れずにすむというメリットもあります。

2. 適切な睡眠を心がける

質の高い十分な睡眠には、ストレスの軽減などいくつもの健康上の利点があります。専門家によると、健康な成人に推奨される睡眠時間は7時間以上です。残念ながら、CIDP患者さんは睡眠の質が低下することがあり1-2)、それを改善するための対策を講じることが心身の健康増進に役立ちます。

1) Englezou C. et al.: Clin Neurol Neurosurg. 2023; 234: 108017.
2) Steiner OL et al.: Brain Commun. 2024; 26, 6(4): fcae206.

よい睡眠のためのアドバイス

  • 毎日同じ時間にベッドに入り、同じ時間に起きる
  • 寝室を暗く静かで安らかな環境に整え、心地良い室温に保つ
  • 就寝前はカフェインやアルコールの摂取、食事の食べ過ぎを避ける
  • 日中、可能な範囲で体を動かす

3. 瞑想を行う

瞑想を行うことで、リラックスしながら精神を集中できます。ネガティブな気持ちを手放し、心身を落ち着かせます。研究によると、マインドフルネス瞑想は不安感、抑うつ、痛みに効果が期待できると考えられています。

自宅で瞑想をするときは

  • 邪魔が入らない、静かでリラックスできる場所を見つける
  • 心地良い姿勢で座る
  • 黙って瞑想することもできますが、音声・動画による瞑想ガイドや、瞑想音楽を利用するのも良い方法です(無料のモバイルアプリもあります)
  • 意識を集中させ、何かの考えが浮かんだり消えたりしても、深く考えたりそのことの良しあしを考えたりせず、そのままにする

瞑想にも練習が必要です。毎日5~10分の瞑想から始めてみましょう。心地良ければ、時間を伸ばしてかまいません。瞑想を始めるときは、事前に主治医に相談してください。

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4. 運動を取り入れられないか考えてみる

適切な運動でQOLの改善を期待できますが、疲労や運動障害、感覚機能障害などの症状がある場合は難しいかもしれません。日々の習慣にもう少し運動を取り入れたい場合は、どのような運動があなたに適しているか神経内科医に相談してみましょう。有酸素運動や筋力トレーニングについて聞いてみてもよいでしょう。どちらもCIDP患者さんの健康や体力の増進に役立ちます。

運動をしてよいかどうか、また運動の内容については医師の指示に従ってください。十分に休息を取り、無理をしすぎていないか自分の体の声に耳を傾けるよう助言されるかもしれません。

5. 健康的な食生活を心がける

一般に、健康的な食生活を送ることにはたくさんのメリットがあります。健康的な食事には、果物・野菜、低脂肪または無脂肪乳製品、全粒粉、脂肪分の少ないタンパク質などが含まれ、添加糖類、飽和脂肪、塩分などを抑えることが望ましいとされています。食事習慣を変える場合は、事前に医師に必ず相談してください。

6. 「人とのつながり」に時間をかける

CIDPの患者さんには、その日の体調を予測するのは難しいかもしれません。だからこそ、あなたのコンディションを理解してくれる家族や友人を増やしていくことが大切です。日々の何が辛くて、何がうまくいったのかを安心して話し合える家族や友人がいると、なにかつらいことがあっても立ち直るきっかけができるかもしれません。おしゃべりしたり、趣味をともにできる体調であれば、そうした人たちとともに過ごすのも良い方法です。

外向的な方なら、患者団体等で行われているオンラインでの交流会で自分の気持ちを話してみたり、他の人の話を聞くのもおすすめです。例えば、全国CIDPサポートグループではオンライン交流会を実施しているそうです。
内向的な性格の方であれば、患者会のSNSやオープンチャットなどに思ったことを書き込んでみたり、ジャーナリングや創作活動などによって自分の思考や感情を表現してもよいかもしれません。

一定の時間内に頭に浮かんでくる考えや感情を紙などに書いていくこと。日本では「書く瞑想」とも呼ばれる。

自分なりのストレス軽減方法を探す

興味や好みは人それぞれ、CIDPの症状も人それぞれです。ストレスコントロールに万能薬はありません。ここでご紹介したアドバイスを参考に、あなたにとって何がうまくいったのか注目してみてください。そして、うまくいったストレス軽減法を日常生活に取り入れ、体と心、精神の幸福と健康のバランスを保ちましょう。

JP-VDJMG-24-00087(2024年10月作成)

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